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「デジタルに課題を抱えている会社は受けて欲しい」。 デジタルで成果が続々生まれた背景を語る

作成者: 管理者|2023.3.28

実はコンビニの4倍もある美容室

―― ミルボン様の提供する商品やサービスについて、教えていただけますか?

弊社は、化粧品市場に属しています。化粧品市場は顔の化粧品「フェイス」、髪の毛の化粧品「ヘア」などのカテゴリーがあり、それぞれにBtoC事業、BtoB(toC)事業が存在します。

化粧品市場におけるBtoCブランドは主にドラッグストアや百貨店、Webでのダイレクト販売、またはプラットフォームといったチャネルでの販売です。BtoB(toC)ブランドはわれわれが属しているような美容室向け、エステ向けといった単一の事業者を通じて販売するところで、「プロフェッショナル市場」と呼ぶこともあります。

その中でミルボンは「ヘア」のカテゴリーに属し、美容室向けのヘアケアと化粧品を販売している企業です。国内外を合わせて約450億円の売上があり、日本と海外の売上比率はおおよそ8:2。海外は主に、中国・韓国・マレーシア・シンガポール・ニューヨーク・ドイツに営業拠点を構えています。

2020年度はコロナ禍で売上を落としましたが、それを除けば上場以来で昨対比6〜7%の成長を続けています。

株式会社ミルボン 竹渕さん

―― 素晴らしい数字ですね。

このように説明すると「美容室というニッチなチャネルに絞っているのですね」と言われることがあります。しかし、実は美容室は日本全国で25万軒以上あります。この数字は、コンビニの店舗数(約6万軒)を大きく上回ります。

美容業の事業所数は、あらゆる事業のなかで最も多いというデータもあります。弊社はそんな美容業を担う美容室を「パートナー」と呼び、60年以上お付き合いを続けてきました。

―― 御社は、どのような業務体制で事業展開されているのですか?

編成的には「少数精鋭」と言えるでしょう。弊社に新卒入社すると、約半年間の研修を実施します。美容専門学校で学ぶような毛髪理論や科学的な知識を座学として学びます。加えて、ヘアカット以外のシャンプー、ヘアカラー、パーマといった技術も勉強します。

あらゆる職種のメンバーが、美容室の現場で技術的な会話ができ、実践できるレベルまでしっかりと仕込まれます。

弊社には海外の営業所も含め、約1,000人の社員がいます。そのうち、国内で販売代理店やサロン訪問、技術業育などを担当する「フィールドパーソン」が約350名います。

「美容師の一番の理解者であれ」というカルチャーを持ち、そこに圧倒的な強みを持っているのがわれわれの特色と言えるでしょう。

ここ数年は美容室の価値をより高めるため、商品販売や技術教育以外もカバーしていこうと新たな取り組みも行なっています。具体的にはDX(デジタルトランスフォーメーション)やマーケティングコミュニケーションといった活動です。

 

競合ではなく、外の市場を見よう

―― ミルボン様のマーケティング活動について教えてください。

まず、弊社には「マーケティング部」が存在しません。「マーケティングは一部門ではなく、全社員が志向すること」という考えを約8年前に提唱したためです。

弊社の最大の特徴は、「TAC製品開発システム」という仕組みにあると思います。TACとは「Target Authority Customer」の略で、顧客代表制を意味します。

TAC製品開発システムでは、特定のジャンルに特化した美容師と共に、共同開発で製品をつくっていきます。そのジャンルのトップクラス美容師の「もうちょっとこういう感じのものがあれば」という想いを形にするので、市場に受け入れられる製品が誕生しやすいんですね。

弊社は数十年間、この取り組みを継続しています。ただ、私は危機感を抱いています。なぜなら自社以外の化粧品会社がどんなマーケティング活動をしているか、情報が社内にまったくなかったからです。

私が所属する経営戦略部やブランド戦略部門では、ここ3~4年マーケティングの常識を学びつつ、自社の強みへの解像度を上げるための活動に取り組んでいます。

―― 成果を出すために最も重視していることはなんですか?

「THE MILBON WAY(※以下Way)」という行動指針が全社に配布・周知されています。「つぶれない会社を創る」という信念を根底に、会社を成長させるために必要な行動基準が書かれているものです。

「Way」の中には、大切なキーワードとして「現場・傾聴・自立」という3つの言葉が出てきます。

現場は「あくまで顧客主義を追求しよう」、傾聴は「お客様から真摯にお話を聞こう」、そして自立には「役職に関係なく動こう」という責任の捉え方が記されています。

これらの言葉は20年以上前から、ミルボンのマインドセットになっています。実際、社内では役職とは無関係に全社的な公募型プロジェクトが募集され、いくつもビジネスが生まれました。DXに取り組み始めたのも、全社プロジェクトで私が提案したことがきっかけです。

―― 挑戦しやすい環境なのですね。会社の理想と、現状の姿にはどんなギャップがありますか?

老舗ゆえ、成功事例からの脱却が難しいと感じています。それを打開しようと新しいチャレンジに挑戦し続けています。私も社外の人々と接点を持ったり社会人大学に通ったりして、ブランドやファンベースといったプロダクト以外の情報を仕入れています。

―― 具体的に、社内ではどのような活動を行っていますか?

メンバーの外部取材やイベント登壇の機会を設けて、対外的な学びとの接点を増やしています。コーチングやリーダーシップマネジメントなど、社内教育や研修への投資も非常に増やしているところです。

研修はオンラインが中心ですが、なるべく参加者が同じ時間・同じ場所に集まってディスカッションができるような、リアルタイム性のある研修を大切にしています。

 

デジタルの効率が一気に良くなった

―― 社内のマーケティング学習や、人材育成に取り組もうと思ったきっかけを教えてください。

私のチーム内では標準的な会話・知識がバラバラで、共通言語がありませんでした。企画・販促・プロモーションの経験者はいるものの、営業系や管理系と各部門からの転属で集まったメンバー。メーカーによくある事情も、大いに関係していると思います。

デジタルシフトやD2Cといった時代の動きに対して「なぜそのサービス(会社)が売れているのか」、他のメンバーに説明できないこともありました。これも言葉を知らない、共通言語がないことが原因だと思います。

そこで、全員の知識のベースを整え、共通言語が生まれる環境を作ろうと思いました。2021年にマーケティング関連書籍をピックアップ、全員で読んでレポートを書いてもらう「読書会」を月1回ペースで開催しました。

それ自体は手ごたえがあったのですが、マーケティングのベーシックな部分、特にデジタルに関する知識を教えるところまでには至りませんでした。この課題解決に最適なサービスはないか探していたところ、「グロースX マーケティング」に出会いました。

―― 「グロースX マーケティング」を導入しようと思った決め手はどこにありましたか?

信頼できるマーケティングの重鎮たちが、プロダクトに関わっているという点は大きなポイントでしたね。「コンテンツを提供して終わり」ではなく、月1回のフォローアップがある点も、リアルな接点を大切にする弊社の考え方にマッチしていると思いました。

フォローアップでは、グロースX社がファシリテーターとして参加してくれることも大きな後押しになりました。この価格で、ここまで工数を割いてサービスを提供してくれるという点に大きな価値を感じましたね。

―― 実際に導入した効果はいかがでしたか?

「デジタル×マーケティング」「どうやったら売上を伸ばせるか」というキーワードへの理解が、非常に進んだと思います。

これまで私たちはCPA、コンバージョン、広告に対するコスト計算などの知見がありませんでした。しかし2022年、ECサイトの運用をスタートするのに合わせて、トライアルでダイレクトマーケティングに携わり始めたのです。ここで初めて、社内でアクセスやF2転換、LTVといったキーワードに触れる機会が生まれました。

こうしたキーワードに対して、正確なアクセス解析のためのパラメータ入力を模索したり、販売手法を試行錯誤したりというアクションを当たり前のように取ることができました。「グロースX マーケティング」による学習の大きな成果だと感じています。

―― 学んだことを、そのまま業務に生かすことができたのですね。

おかげで、昨年立てていたチームの売上目標を達成できました。実は10月段階で、目標の進捗度は8割程度だったのです。達成は難しいかもしれないムードの中、あるメンバーが最後まで方法を模索し、最終日の前日になんとか達成できました。

「グロースX マーケティング」のカリキュラムには、「LPや広告のクリエイティブについてABテストをする」というものがあります。ここでの内容を実践したところ、2022年上半期から下半期にかけて、CPAを約3割削減できました。

具体的には、ABテストを元に協力会社と広告クリエイティブの最適化を図りました。それに加え、申し込み画面やトライアル販売の会員登録のメール動線など、設計上の穴を見直していきました。

―― 実際に「グロースX マーケティング」を受講した方は、どんな感想をお持ちなのでしょうか?

「デジタルへの弱みを自覚していたものの、座学では理解しきれなかった。講座で実践的に学べたおかげで、外部の協力会社と会話ができるようになりました」という声は、多く寄せられています。

協力会社の提案内容を理解し、違和感を覚えたら疑問を投げかける。これは、事業会社が身につけるべきリテラシーだと思います。身について初めて、協力会社と健全な関係を築ける。その土台ができつつあるなと感じています。

 

デジタルに課題を抱えている会社は受けて欲しい

―― 「グロースX マーケティング」の学習体験について「ここがよかった」と感じる点を教えてください。

デジタルを中心としたカリキュラム内容が、弊社の弱みにハマったと感じています。

個人的によかったのが、月1回の共通言語ミーティングがあった点です。学習を続けていると、どうしても「面倒くさい」という気持ちが起こってしまいます。LINEステップやGoogle Analyticsに関する講座は、関わらないメンバーもいます。「自分には関係ない」と思った途端、学習のモチベーションは落ちてしまうものです。

しかし定期的なミーティングを行なうことで、メンバーの学習進捗度が滞らずに済んだと思います。カスタマーサクセスの斎藤さんはミーティングごとに復習用資料を用意し、「このカリキュラムの内容がいかに大切か」を伝え続けてくれました。

しかも、資料はリーダーである私が作っているということにしていたんですよね。おかげで「リーダーが頑張っている、自分たちも」という雰囲気を作りやすかったです。

―― 今回のカリキュラムを通じて、今後実現していきたいことをお聞かせください。

弊社は特性上、人の出入りが激しいわけではありません。しかし私は、社内の仕事を通じて個としての成長を続けつつ、外に飛び出しても活躍できるメンバーを増やしたいと考えています。

私が所属するブランド戦略グループはEC事業やDX推進、ソーシャルマーケティング、コーポレートブランディング、PRなど多種多様なチームを抱えています。

メンバーには、ミルボンにしがみつかなくても生き方を選べる状態になってほしいです。「別の会社でも通用するけど、ミルボンという会社に魅力を感じている」という方が組織として健全だと思います。

―― ありがとうございます。最後に、「グロースX マーケティング」はどんな企業におすすめしたいサービスだと思いますか?

事業会社に勧めたいです。特にリアルビジネス中心で、ECサイトの強化などデジタルに課題を抱えている会社は、ぜひこの講座を受けるべきだと思います。

 

(インタビューご協力:株式会社ミルボン 様)