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“付加価値こそ重要”と気付いたベイジの決断「2027年にウェブ制作会社から業態変更するという意思決定をグロースXが後押ししてくれました」

作成者: 管理者|2024.1.29

社内にストックされていく体系立った学習を求めていたベイジ

代表/CEO 枌谷さん

―― まずは貴社のサービスについて教えてください。

枌谷さん:
BtoB領域を強みとしたWeb制作事業を運営しています。また現在、採用サイトの制作・構築や業務システムのUIなど、BtoB以外の得意領域も、昨年から本格的に強化し始めました。Web制作会社という立場ではあるものの、制作だけに閉じず、”顧客の成功”に寄り添うことを大切にしています。

組織は、端的に言えばクリエイター組織です。もちろん事業を推進する上でディレクターやコンサルタントもいますが、広義の意味では“クリエイター集団”だと思います。いわゆる専任の営業やマーケティング担当はいなくて、広報や人事などもおらず、クリエイターたちで兼任して業務をフォローしています。

クリエイター組織であることの利点としては、成果物の品質に対して、余計な説明を加えずに当たり前のように全社で向き合うことができる点です。ただ一方で、お客様とのギャップが出てしまうことがあります。例えば、お客様はビジネス的な課題解決を求めているのに、我々はクリエイターの世界で言われる正しさや正論に重きをおきすぎたご提案になってしまう場面もあります。このギャップをいかに埋めて、経営や事業に対して実効性のあるアウトプットにしていくか、というのが経営上の最大の課題だと思っています。

お客様から言われた通りに作るというスタイルもあるとは思うのですが、どうしても受け身というか御用聞き型のビジネスになってしまうし、お客様自身が、自分の成功を客観的に、構造的に捉え切れていないこともある。弊社としては、お客様の要望に従順に従うのではなく、経営や事業の原則を前提として、お客様にこうしたらどうだろう、本来こうあるべきでは、とご提案してリードする立場で仕事をしていきたいですし、そうでないと一定の水準以上のお金をいただく意味がないと思います。

加えて、グロースXの中でも重要なテーマの一つとして出てきた「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」を自社でもしっかり高めていきたいとも思います。そういう意味でも、ビジネス面の理解をいかにクリエイターにインストールするかが重要でした。そういう土台を組織の中に作っていかないと、付加価値は徐々に下がってしまいますしね。こういう問題意識がずっとあったので、グロースXの導入もスムーズに決まりました。

執行役員 佐々木さん

―― なぜグロースXが選ばれたのでしょうか?

佐々木さん:
以前は、社員教育の一環として週に1回1時間程度の社内勉強会を開催していました。加えて、Slackの中で相談する場もありました。ただ、このようなフロー型のナレッジはたくさんあったのですが、体系化された、ストックされていくような学習は取り入れられていませんでした。

体系立った学習を刺激と共に投入したい、と考えた時に出会ったのがグロースXでした。

グロースXは「顧客支援の参考書」のような存在です。例えば、Webサイトを作るときクリエイターが単に綺麗なデザインやコンテンツを作るのではなく、BtoBマーケティングを理解した上でワイヤーフレームやビジュアルの提案ができるようになると、顧客の事業担当者からすると納得がしやすいですよね。

実際、導入してそういった効果はメンバーの発言を見ていてもちろん得られましたし、それ以上に“顧客の成功を追求する”という思考が全員に身についたことは非常に大きかったです。導入した最初の3ヶ月くらいでそうした社内UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)が日報などの中で増えてきたことで、社内の大きな変化を感じました。

顧客の成功に寄与しないものは意味が無い、と表現すると言い過ぎかもしれませんが、それくらい強い認識で顧客の成功を追求できるようになったと思います。

枌谷さん:
グロースXを導入し始めた頃、ちょうど会社のミッションを再定義していたタイミングでして、”顧客の成功”という言葉がまさにぴったりだなと感じました。一度作ったミッションを、グロースXの影響で再度変更することまでしました。

今も社内では“顧客の成功”が一つの共通言語になって、社内の会話でも、1on1でも、Slackでも、この言葉が頻繁に飛び出してきます。共通言語化したことで、会社の基本的な考えや価値観が共有されて、社内でのコミュニケーションが取りやすくなったようにも感じています。

 

―― グロースXを導入する際、他のサービスも検討されたのでしょうか?

枌谷さん:
西井さんや山口さんなどのメンバーが、地に足のついた実務に活かせることをちゃんと教えてくれるんだろう、という信頼が大きかったので、比較はしなかったですね。というか、比較対象になるようなサービスはないのでは、と思っていました。

私自身はアカデミックな勉強も好きなんですが、実際に社員に学んでもらうことを考えると、より実務に活かせる、リアルな話も織り交ぜられているサービスが良いと考えました。自分の経験則でもありますが、アカデミックすぎる内容だと、咀嚼して自分で実行するイメージが湧きにくくて、結局現場に落ちないことが多いと思うんですよね。

実行するイメージを持つには、月に一回、グロースXのカスタマーサクセスがファシリテーションしてくれる共通言語ミーティングも大きな役割を果たしてくれていたと思います。このミーティングは、アプリの学習を振り返り自社業務に落とし込む、アウトプットの訓練の場でもあります。導入前はそこまで具体的なイメージを持っていなかったのですが、実際に学んだ内容を自社のケースに当てはめて考えることは大切ですね。理解度って、実例を元にするとここまで深まるんだなと顕著に感じました。

 

全社一丸となって“顧客の成功”をゴールにした戦略的思考を実現できたことで、商談設定後の受注率が10%→30%へ大幅改善

―― グロースXを導入して、どんな効果がありましたか?

佐々木さん:
社内に戦略的な思考が備わり始めたことでしょうか。あるデザイナーが「“顧客のゴール”を決めないとワイヤーフレームは作れない、ということを知った」と言ってくれまして、その時はこの人に受講してもらって本当によかった、と思いました。

それまでは、こういう風に配置した方が綺麗だとか、この色が良さそうとか、あくまでも情報をどう配置するかというユーザー不在の発言が多かったんです。一方でお客様に対面しているコンサルタントはユーザーにとってサービスが適切にわかりやすく掲載されているか、を重視していますので、社内でも議論がまとまらないケースがありました。

今は、例えば「お問い合わせ件数を最大化する」という“顧客の成功”を一番に掲げ、そのためにワイヤーフレームやコンテンツ制作を各クリエイターが考えることができるようになっている。これはとても大きな変化だったように思います。

枌谷さん:
私は、佐々木みたいにずっとお客様を担当しているわけではなくて、数ヶ月に1回プロジェクトを担当するくらいなので、だからこそより一層みんなの変化を感じました。あれ、このクリエイターはこんな話をする人だったかな、と成長を感じる瞬間があって、そんな時はとても頼もしかったですね。

佐々木さん:
もちろん、これまでも制作に入る前に“そもそものWebサイトの役割をちゃんと決める”という戦略的な整理はしていましたが、その進め方が圧倒的に効率的かつ戦略的になりました。プロセスを経ていく上での共通認識が社員全員で揃ったことで、議論がしやすくなったからだと考えています。

これまで戦略をまとめる役割の“コンサルタント”は私を含めて3名いて、この3名がいないとなかなかプロジェクトが始められない状態だったので、なかなか案件数を増やせず、事業拡大におけるボトルネックになっていたんです。戦略をまとめられる担当の育成こそが会社の一番の課題だったんですよね。今回、グロースXを学んだことで実際に一部のデザイナーがコンサル用に戦略工程にチャレンジする機会もあり、結果的にお客様へのサービス供給量を増やすことに繋がりました。

また、顧客層の分類ができたことで、顧客戦略を立てられたことも大きな変化でしたね。
これまではお客様に対面する者が体感値で分類して都度対応していたのですが、改めてお客様を3パターンに分類することにしました。

このパターンだとこういう課題があって、こういう受注要因/失注要因が出てくる、といった情報を徹底的に体系化したんです。そうするとこういうお客様にはどんな情報をお伝えして、何をご提案すればいいのかについての社内の目線が合うようになりました。受注理由と共に失注理由も明確になりましたので、例えば「このパターンの失注理由は内製化だから、そもそも仕方がない」とか、営業効率が格段に上がり、失注に怯えなくなりましたね。

Webアプリ支援事業の商談成約率という観点だと、商談が発生して案件化してからの受注率が40%だったのですが、80%まで大幅に改善しました。リードの絶対数がそこまで多くないサービスという影響も多少はあると思いますが、最近はほとんどご発注に至っているような状況です。

また、商談設定後の受注率ですと、元々10%を切っていたのですが、30%近くまで改善しています。この影響で、会社全体の売上も20%超のペースで成長できています。

 

強力な“実行推進者”の存在こそが、成功のコツ。

 

―― 他の方にグロースXをお勧めできる点をあげるとしたら、どういった点でしょうか?

枌谷さん:
個人的には、ウェブ制作会社のような、顧客支援を行ってるような企業全般にはお勧めできると思っています。ただ、成功のためには当社の佐々木のような“強力に実行推進する責任者”がいることが必須だと思います。

あと、私たちのようなビジネス寄りのことを考えて顧客に戦略的に提案していく、そういう体制を目指している会社には向いていると思います。一方で、クリエイティブに特化しすぎた会社には、もしかしたらフィットしにくいかもしれません。

コンテンツの内容としては、「独自性+便益」を兼ね備えたサービスだと思いました。概念などの抽象度の高い理論体系をきちんと説明しつつも、実務でもすぐに役立つ具体的な内容が多かったですよね。例えば「アンケート」に関するコンテンツでは枕詞をちゃんと使うとか。具体性が高いので、お客様とのコミュニケーションにすぐ反映させることができたという感覚が強いです。こうしたコミュニケーションの違いに気づいているお客様は絶対にいるので、商談を通じての総合的な信用度・信頼度は抜群に上がったと思います。

また、経営者・事業責任者としての目線で言うと、私自身が参考になった内容がすごく多かったです。LTVの分解とか経営や財務に直結するコンテンツも多くて、現場担当はもちろんですが、経営層や事業責任者といった牽引していく立場の人は絶対学んでおいた方がいいと思う内容がとても多かったです。

佐々木さん:
現場にとっては、学習を通して違う見方・考え方の人がいる、と理解できることも大きいと思います。いろんな視座や世界観があるんだな、と理解することで、話が噛み合っていないことに気付けるようになります。

目線の違いに気付けるのは、とても大切ですよ。気付けたら、目線を合わせにいくこともできるんですよね。目線が合わないことにただストレスをためるのではなく、ちゃんと会話を成立させることができるようになるって、大きな変化だと思います。

 

より深く顧客により添える高収益組織を目指して。

―― 貴社の未来像について、教えてください。

枌谷さん:
実は、2027年くらいを目処に、Web制作会社から業態変更しようと思っています。もちろん、会社を畳むとかそういうことではないですし、Webサイトを作らなくなるわけでもないのですが、もっと高い次元で“顧客の成功”のために、Webサイトに囚われず主にデジタル系コンテンツ全体を提供したり制作支援したりできる会社になっていきたいんです。

市場のポジショニングが変わるため、どういう肩書に変えるかは慎重に検討していますが、組織もそれに合わせて変えようと考えており、顧客の成功やマーケティングについて、相手企業の経営者や事業責任者と対等に対話できる人を全社的に増やしていきたいですね。

佐々木さん:
僕なりの咀嚼を加えると、中期的な業界のトレンドを見たらAIや様々なシステムによって制作コストは下がっていくと考えています。これまでの10分の1のリソースで完結できるようになってくると、制作会社としての顔や機能だけでお金をいただくのは難しくなる。

枌谷さん:
もちろん、Web制作やいろんな施策が必要であることは変わらないけれど、あえて私たちが関与する付加価値をより強く感じていただけるようになることが、今後の経営の大きな方向性だと思っています。人のナレッジや単価の高いフィーの価値を感じていただけるように、それに見合った人材を育成・採用していかなければいけない、というのが中期の目標ですね。そのことで、私たち自身もより高利益の企業となり、得た利益をまた社員に還元し、さらなる成長機会を提供する、という良い循環を社内に作っていきたいと思っています。

私たちベイジだけではなく、マーケティングを支援する企業に共通した課題だと思いますが、これからは「いかに付加価値を提供できるか」が会社の存続をかけた勝負になると感じています。だからこそ、今のうちに人材・組織を育成することが将来への確実な投資になっていくはずです。むしろ、そういった投資ができない企業は、これからの市場では勝負していくこと自体が難しくなっていくのではないでしょうか。

過去のWeb制作会社の典型例に囚われず、より価値が高いものを作っていくために、会社としての売上も、社員の給与もちゃんと上げていきたい。例えば私が年齢的に市場から退場した後も、社員一人ひとりの給与を上げていける、利益を上げ続けていけるような、そんな会社に変えていきたいです。組織としての強化ももちろんですが、今ベイジに関わっている一人ひとりが個としても強くなっていって欲しい、そのサポートをし続けていきたいと思います。

 

(インタビューご協力:ベイジ 様)