株式会社三越伊勢丹

三越伊勢丹が目指す、リアルとデジタルを横断する人材育成

「9割が百貨店出身」というECサービス

―― まずは、成田様の業務内容から伺えますでしょうか。

成田 私が所属する定期宅配営業部では、「ISETAN DOOR」という食材宅配サービスを運営しています。立ち上げ5年目で、弊社からすると若いサービスになります。

サービスができた経緯は、オイシックス社からの業務支援でした。話が進む中で、同社と弊社が持つアセットをうまく融合してサービスができないか、というところが発端となっています。

現在は、ECサイト上で百貨店のデパ地下を提案しています。ブランド名をお出しするとホレンディッシェ・カカオシュトゥーベ様のバウムクーヘン、RF1様の惣菜・サラダ、蒲鉾本舗 高政様の揚げかまぼこなど多種多様なブランド様をそろえています。

―― 組織内のメンバーは9割が百貨店出身とのことですが、どういった部分が強みなのでしょうか。

成田 お客様に対する観察と接客、そこから得た情報をサービスに還元すること。お客様との対話をすごく大事にしている社員がECに携わる、そこは大きな特徴だと思います。

それこそ店頭の小さなPOP作りから始め、お客様とのコミュニケーションから得た情報をサービスに生かす。そうした経験を、ほとんどのメンバーが積んでいます。「1人のお客様を幸せにしたい」という価値観は、チームとしての強みになっていると思います。

―― 一方、ECサイトの運営においてはどのような課題を抱えておられるのでしょうか。

成田 「ISETAN DOOR」はEC事業であり、リアルに依拠した百貨店事業とは業務内容が異なります。デジタルに即応するスキルが、あらゆる意思決定に必須となります。

例えば、あるお客様から「**というお菓子屋さんの商品が素晴らしい、揃えてほしい」という要望を頂戴したとします。

そのとき、お菓子屋さんの生産能力はどうか、流通経路はどうかなど様々な要素をすぐに検討できるか。商品を揃えれば、そのお客様には喜んでいただけます。が、横展開してどの程度の売上になるか、多くのお客様にご満足いただけるか。そうした判断軸を持てるかは、非常に重要ですね。

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三越伊勢丹・第1MDグループ定期宅配営業部マーケティングマネージャー 成田さん

全体感を持てる組織づくりを目指して

―― 組織づくりにおいて、最も重視しているのはどういったことでしょうか?

成田 データドリブンですね。とはいえ、目の前のお客様にフォーカスしてきた人材が多いため、まずは全体感を持てるようにしたいです。

弊社はWEBサービスに携わってきたメンバーが多くはいません。そうした人材を積極採用してきたわけでもないため、立ち上げ当初からここは課題でした。

心がけているのは、新規メンバーがジョインした際には積極的にオリエンを行なうこと、日々のコミュニケーションでも丁寧に接すること。様々な教育機会を用意するほか、日常で使うワードも百貨店事業でも用いる用語に落とし込むなど、様々な工夫を行なっています。

―― どういった理想像を持って組織運営を行なっておられますか?

成田 新しいことを学ぶ必要性が強いため、好奇心が自然とわいてくる環境を用意できればと考えています。個々人の裁量を大きくしてチャレンジできる環境を作ったり、そこで得た学びを活かす場を作ってあげたり。

とはいえ、やってみたいチャレンジをヒアリングすると、メインKPIとは異なる業務設計の必要があったりします。業務に落とし込みたいのですが、残念ながらサービスがまだ若いため、アウトプットの機会を十分に与えられていない。そこは課題だと感じています。

―― 理想とのギャップを埋めるため、どのような取り組みを考えておられますか?

成田 ある程度、矛盾する指標を持つことですね。例えば、商品を手配するメンバーのKPIは売上や利益ですが、そこにお客様のLTVに寄与する指標をあえて持ってみたり。

獲得効率を上げる話とLTVを高める話は、一見矛盾して見えます。ただ、経営を行なううえで矛盾はつきもの。現実にどう向き合うか、というマインドを持ってもらうことが必要だと考えています。

経験上、細かく具体的な仕事になるほど視野が狭まります。「いいよ、なんでもやっていこう」というある種不安を与えるような環境、裁量を持てる仕事の任せ方ができると理想ですね。

そうした仕組みを段階的に設計していけると良いな、と思っています。こうしたマインドセットについては、御社のプログラム含めた部内教育と、裁量ある実践の両軸で徐々に解いていきたいです。

 

グロースXは「この川を渡りたい」と思えた

―― 今回、「グロースX マーケティング」を使ってマーケティング人材育成に取り組もうと思われたきっかけを教えてください。

成田 2020年度末、これまでデジタルサービス運営に携わってこなかったメンバーが多く参加することが決まりました。次年度の体制づくりを考える中、既存メンバーがどう仕事を行ない、PDCAがどういった考えで回っているのかキャッチアップしてもらう施策が必要と考えました。

もちろん「なるべくわかりやすい表現を」「コミュニケーションを細かく」とは心がけていたのですが、限界がありまして。「何か良いプログラムはないか」と探し始めたのがきっかけですね。

サービス選定において重視したのは、UI・とっつきやすさです。デジタル領域の知見を得る上で、「この川を渡りたいか」と思えるかどうかは非常に重要でした。

次に重視したのは、「WHAT」と「HOW」を行き来しているか。世の中にはSEOなど個別要素を切り出した教材コンテンツが多数ありますが、正直それだとHOWに寄りすぎていると感じます。

WHATと行き来することが大事だと思ったのですが、そうした学習プログラムがなかなか見つからなかったんですね。「グロースX マーケティング」は自分の問題意識にフィットしており、部内の追い風になると思いました

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語彙がそろい、質の高いコミュニケーションが生まれた

―― 「グロースX マーケティング」を導入し、どのような効果を感じておられますか?

成田 共通言語化が進んだことが大きいですね。メンバーにヒアリングした際に出てきた回答として、「ベースとなる学びをもらえた」「皆が(このアプリを)必要という認識を持っている」というものが多かったです。

世にある教材には、概念定義があやふやなケースもあります。「グロースX マーケティング」には、それがありません。テクニカルな部分以上に、考え方が共通言語として日々の業務に還元される。これは、非常に重要だと思いますね。

―― 受講後、変化を感じられているメンバーの方はいらっしゃいますでしょうか。

成田 前提知識の不足に気づけた、というコメントは多いですね。特定メンバーへの依存から、全員が仕事を回せる状態に変わってきました。誰かに頼る状態を脱すれば、仕事に対する責任感やプライドを持ちやすくなり、良い循環が生まれます。

あとは、言語がそろったことが大きいですね。例えばバリュープロポジションという考え方にしても明快に定義され、ブレようがない。各個人の認識がそろったことで、質の高いコミュニケーションが増えたと感じています。

 

学習進捗を可視化できるのは大きい

―― 「グロースX マーケティング」の学習体験について、他に良いと感じられている部分はありますか?

成田 学習進捗が可視化できることですね。参加メンバーの進捗が一覧できるのは、学びを継続する上でとても重要だと思いました。僕自身が怠け者なので(笑)、奮い立たせられた部分は少なからずあります。

メンバーからも「私、遅れているかも?」といった反応がありました。「***さんに抜かれた」といった会話もありましたし、それによって行動変容が起きていました。これは、予期しないメリットでしたね。

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川を渡った後、もう一度戻ってくるイメージで

―― 今後の展望についてお聞かせください。マーケティング学習・人材育成に関する展望、マーケティング思考・スキルを活かした事業やプロジェクトに関する展望、それぞれお伺いできますと幸いです。

学習面での話ですが、ISETAN DOORはデジタルマーケティングを主としているサービス体なので、まずは先ほどまでに申し上げたような事業内容を頑張っていきたいですね。

その上で、このサービスは「百貨店と近しい存在であること」がバリュープロポジションだと思います。ここで得た知見を、どうリアルで活かせるか。川を渡った後、もう一度戻ってくるイメージが必要だと思います。

リアルとデジタルにおいて、境目のないマーケティング思考を各々が持てるようにしたい。私の具体的なミッションもそこです。メンバーそれぞれが、次のステップとして想像できるようにしていきたいですね。

事業面では、弊社は「グループ連邦戦略」という言葉を使用しています。BtoC、BtoBにかかわらず、サービス展開した際のグループのアセットが豊富にあり、それを適切に結びつけながら新たな価値提供をしていきたいです。

―― 今回は、お忙しい中ご協力いただきありがとうございました!

 

(インタビューご協力:株式会社三越伊勢丹ホールディングス 様)