【1】マーケティングとは？基本のスキルを解説
テレビCMやWeb広告、SNSでの宣伝活動など、様々な施策を連想するかもしれません。しかし、マーケティングはそうした宣伝活動だけではありません。
マーケティングとは、「顧客を中心とした関係者や社会にとって価値ある製品・サービスをつくること」であり「その製品・サービスを対象の市場・顧客に伝え、顧客を獲得・維持し、売上・収益を上げるプロセス全般の活動」を意味しています。
つまり、マーケティングを本来の意味で広くとらえると、多くの部門が密接に関係しています。そのため、マーケティングには多岐にわたるスキルが必要とされ、市場調査から顧客分析、商品開発、販売促進、顧客サポートまで、幅広い業務が含まれます。
特に、事業を成功させるためには、顧客のニーズを的確に捉える「顧客理解」、商品・サービスの魅力を適切に取り出す「顧客価値」、効果的に訴求する「マーケティング施策」が不可欠です。
マーケティングの基礎を築く上で重要な、基本的なスキルを、まずは2つ取り上げます。
1．市場分析
市場分析では、以下のような手法を用いて調査します。
- 市場規模と成長率: ターゲット市場の規模や成長性を把握し、ビジネスとしての将来性を評価します。
- SWOT分析：自社の持つ強み（Strengths）、弱み（Weaknesses）、自社の環境の機会（Opportunities）、脅威（Threats）を評価するフレームワークを用いて、内部要因（強み、弱み）と外部要因（機会、脅威）を整理します。
- 3C分析：①顧客（Customer）が何を求めているのか、どのような価値を提供すれば満足するのか。②自社（Company）が市場でどのようなポジションにあるのか、どのように競争力が求められるのか。③競合（Competitor）と比較し自社の立ち位置を明確にする。
- PEST分析: マクロ環境を分析するためのフレームワークであり、Political（政治的要因）、Economic（経済的要因）、Social（社会的要因）、Technological（技術的要因）といった外部環境の変化を捉え、市場への影響を予測します。
市場分析を行うことで、顧客から見た競合と自社の位置付けの解像度がより高まります。
2．ターゲット設定とペルソナ設定
ターゲット設定とは、自社の商品・サービスを使う「想定顧客層」を明確にすることです。
一方でペルソナ設定とは「架空の顧客像」であり、ターゲットを実在する人物のように深く掘り下げることをいいます。
ターゲット設定が想定顧客層の「集団」を指すのに対し、ペルソナ設定は見込み客となりうる「個人」を意味します。
ターゲット設定とペルソナ設定の違いは、顧客を広義に捉えるか、狭義に捉えるかの違いとなります。
限られたリソースで最大限の効果を獲得するために、例えば調査を通じて明らかになった以下のような項目を具体的に設定します。
- デモグラフィック属性: 年齢、性別、居住地、職業、収入などの属性データ
- サイコグラフィック属性: 価値観、ライフスタイル、興味関心などの心理的なデータ
- 購買行動: 購入頻度、購入場所、情報収集方法などの行動データ
ターゲットやペルソナを絞り込むことで、より顧客ニーズに合致した商品開発、効果的な広告配信、顧客との関係構築などが望めます。
【2】現代社会においてマーケティングスキルが求められる理由
あらゆる商品・サービスがデジタル化する時代、事業の成功にマーケティングは必要不可欠です。
なぜなら、デジタル化が進み顧客との接点が増え、大量のデータが生まれているからです。オフラインだけでなく、ウェブサイト、スマホアプリ、ソーシャルメディア、メールなど多様なチャネルを通じて、顧客とコミュニケーションを取ることができるようになりました。加えて、チャネル上のデータを分析する（データドリブンに推し進める）ことで、顧客の行動や嗜好を詳細に理解することができます。
マーケティングはこうしたデータを活用して、チャネルを通じて、顧客のニーズに合わせた適切なメッセージを届ける役割を担っています。
このような背景から、顧客と商品・サービスの持つ便益や独自性を深く理解できる「マーケティングスキル」の重要性が、かつてないほど高まっていると言えるでしょう。
「顧客との接点が増加している」「データドリブンな意思決定が求められている」の他に、どのような理由から、マーケティングスキルは重要視されているのでしょうか？
顧客体験の向上
商品を開封する様子がSNSにアップされたり、使い心地が口コミで広がったり、買うまでの体験・買った後の体験も重視するようになりました。
デジタル化した時代、例えば、口コミやECサイトへの往訪、メールの開封状況など、顧客からのフィードバックは比較的簡単に取得できます。こうしたデータは、顧客体験を向上させるために役立ちます。ECサイトのUIを改善したり、顧客サポートをより迅速に対応したりすることで、顧客満足度を高めることができます。
リアルタイムにパフォーマンス測定と改善
デジタルなマーケティング施策は、パフォーマンスをリアルタイムで測定し、データドリブンに改善することができます。これにより、マーケティング活動の効果を最大化し、ROIを向上させることができます。
その結果、デジタルなマーケティング施策は、従来からある施策に比べてコスト効率が高いと言われています。例えば、効果の悪かったオンライン広告の出稿を直ぐに止め、新たなクリエイティブのオンライン広告を出稿すれば、無駄な広告費を削減できます。
【3】デジタルマーケティングスキル
SEO
SEOとは、Search Engine Optimization（検索エンジン最適化）の略称で、Googleなどの検索エンジンで自社のWebサイトを上位表示させるための施策です。
SEOを行うことで、以下のメリットがあります。
- 検索エンジンからのアクセス増加: 上位表示により、より多くのユーザーにWebサイトを訪問してもらえる可能性が高まります。
- ブランド認知度の向上: 検索結果の上位に表示されることで、ブランドの信頼性や認知度が向上します。
- コスト効率の高い集客: 広告費用をかけずに、継続的なアクセス増加が見込めます。
SEOは、Webサイトのコンテンツ、内部構造、外部対策など、多岐にわたる要素を総合的に改善していくことが重要です。
SNS
SNSを活用したマーケティングとは、Facebook、X（旧Twitter）、Instagramなどのソーシャルメディアプラットフォーム上で顧客とのエンゲージメントを構築し、ブランド認知度や購買意欲の向上を目指すマーケティング手法です。
SNSマーケティングには、以下のポイントが重要です。
- ターゲットに合ったプラットフォーム選定: 各プラットフォームのユーザー層や特性を理解し、自社のターゲットに最適なプラットフォームを選定します。
- 魅力的なコンテンツマーケティング: ユーザーの興味関心を惹きつける高品質なコンテンツを制作し、継続的に発信します。
- 双方向コミュニケーションの促進: コメントやメッセージへの返信など、ユーザーとの積極的なコミュニケーションを通じて、共感を生み出し、信頼関係を構築します。
- 効果測定と改善: アクセス状況やエンゲージメント率などのデータ分析を行い、改善を繰り返すことで、より効果的なSNSマーケティングを目指します。
メール
メールマーケティング運用には、以下のポイントが重要です。
- ターゲット設定: 属性や興味関心などに応じて顧客リストをグループ分けし、それぞれのニーズに合致したメールを配信します。
- 魅力的な件名と本文作成: 顧客の開封意欲を高める魅力的な件名と、読みやすく分かりやすい本文を作成します。
- CTA (Call to Action) の設置: メールを読んだ後に顧客にどのような行動を取ってほしいかを明確に示します。
- 効果測定と改善: 開封率やクリック率などのデータ分析に基づいて、配信内容や配信タイミングなどを改善します。
【4】アナリティクススキル
データ分析の基本スキル
データ分析とは、特定の問題を解決する優れた意思決定を下すために、収集したデータをさまざま確度から分析し、マーケティング活動の改善やビジネス上の課題解決などの目的に沿った知見を得るためのプロセスです。
データ分析の基本的な手順は以下の通りです。
- 現状把握：今の状況を整理します。
- 問題の発見：明らかになった現状から、何が「問題（problem）」なのかを整理します。
- 問いの設定：問題を解決するために何をすれば良いのか、「問い（question）」を考えます。
- 仮説構築：問いに対する仮の答えを立てます。問いと仮説はニコイチです。
- データ収集: 目的に応じて必要なデータを、Webサイト、SNS、顧客データベースなどから収集します。
- データクリーニング: 収集したデータに含まれるノイズやエラーを取り除き、分析に適した状態に加工します。
- 処理: 統計分析、多変量解析、テキスト分析など、適切な分析手法を用いて、データから有益な情報を抽出します。
- 可視化: 分析結果をグラフや表などを用いて分かりやすく可視化することで、理解を深めます。
- 解釈と報告: 分析結果を解釈し、ビジネス上の示唆を導き出し、関係者に報告します。
KPI設定
KPI（Key Performance Indicator）とは、マーケティング活動の成果を測るための重要な指標のことです。KPIを設定することで、マーケティング活動の進捗や効果を客観的に把握し、改善につなげることが可能になります。
KPI設定では、以下のポイントが重要です。
- SMART (Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound) な目標設定: 具体的に測定可能で、達成可能な目標を設定し、適切な期限を設ける。
- ビジネス目標との整合性: 設定するKPIは、最終的なビジネス目標の達成に貢献するものでなければなりません。
- 適切な指標選定: Webサイトへのアクセス数、顧客獲得単価、顧客生涯価値など、ビジネス目標に合致した適切な指標を選定します。
KPIの改善
PDCAサイクル（Plan-Do-Check-Action）とは、計画、実行、評価、改善を繰り返すことで、継続的に業務プロセスを改善していくためのフレームワークです。マーケティングにおいても、PDCAサイクルを回すことは非常に重要です。
- Plan（計画）： 目標設定、ターゲット設定、戦略立案など、マーケティング活動の全体計画を策定します。
- Do（実行）： 計画に基づいて、Webサイト制作、広告運用、コンテンツマーケティングなど、具体的なマーケティング活動を実行します。
- Check（評価）： 実施したマーケティング活動の効果を、事前に設定したKPIを用いて測定・分析します。
- Action（改善）： 評価結果に基づいて、改善策を検討し、次回以降のマーケティング活動に反映させます。
【5】コミュニケーションスキル
マーケティングを本来の意味で広くとらえると、多くの部門が密接に関係しています。つまり社内外の様々な関係者と連携しながら進めていく必要があります。そのため、高いコミュニケーションスキルが求められます。代表的なスキルを解説します。
プレゼンテーション
プレゼンテーションスキルとは、自身の考えやアイデアを相手に分かりやすく伝え、共感を得るためのスキルです。普段から、顧客への提案、社内での報告、会議での発表など、プレゼンテーションを行う機会が多くあります。
魅力的なプレゼンテーションを行うためには、以下のポイントが重要です。
- 目的を明確にする: プレゼンテーションを通じて、相手に何を伝えたいのか、目的を明確にしましょう。
- ターゲットを意識した構成: 誰に向けてプレゼンテーションを行うのか、ターゲット層を意識して、ストーリーを構成しましょう。
- 分かりやすい説明: 専門用語を避け、図やグラフなどを効果的に活用することで、誰にでも理解しやすい説明を心がけましょう。
- 自信を持った話し方: 堂々とゆっくりと話しましょう。アイコンタクトやジェスチャーを交えることで、聞き手の心を掴みます。
- 質疑応答への対応: 質問に対しては、誠実に、分かりやすく回答しましょう。
ネゴシエーション
ネゴシエーションスキルとは、交渉相手と合意形成を図り、双方にとって納得のいく結果を導き出すためのスキルです。
マーケティング活動では、顧客との契約交渉、取引先との条件交渉、社内調整など、様々な場面で交渉が発生します。
効果的なネゴシエーションを行うためには、以下のポイントが重要です。
- 事前準備を徹底する: 交渉相手のニーズや状況、交渉内容に関する情報を事前に収集し、戦略を立てましょう。
- win-winの関係を目指す: 一方的な利益を追求するのではなく、双方にとってメリットのあるwin-winの関係を目指しましょう。
- コミュニケーションを重視する: 相手の意見に耳を傾け、自分の意見も明確に伝えることで、相互理解を深めましょう。
- 妥協点を探る: 自分の主張を一方的に押し通すのではなく、状況に応じて柔軟に対応し、妥協点を探りましょう。
チームワーク
チームワークを高めるコミュニケーションスキルとは、チームメンバー間で相互理解を深め、共通の目標達成に向けて協力し合える関係性を築くためのコミュニケーションです。
マーケティング活動は、大半の場合が一人で完結しません。チームで協力して進めていくために必要な心構えはたくさんあります。
チームワークを高めるためには、以下のポイントが重要です。
- 報告・連絡・相談を徹底する: 報連相を密に行うことで、チーム全体の情報共有を図り、スムーズな連携を保ちます。
- 積極的な意見交換: 自分の意見を積極的に発信するだけでなく、相手の意見にも耳を傾け、建設的な議論を心がけましょう。
- 感謝の気持ちを伝える: チームメンバーへの感謝の気持ちを言葉で伝えることで、モチベーション向上に繋がります。
- 共通の目標を共有する: チーム全体で共通の目標を共有することで、一体感が生まれ、チームワーク向上に繋がります。
【6】マーケティング戦略の立案と実行
マーケティング施策の範囲は広く、かつ複雑なため、施策別に担当が設けられることもあります。したがって、全スキルを網羅することが非常に難しくなってきています。
スキルの可視化
マーケティング戦略を立案・実行するにあたって、まずはチームメンバーのスキルを可視化することが必要です。
管理者はメンバー1人ひとりの現在のスキルを把握し、今後どのスキルをどれくらい磨く必要があるのかを知ることが求められます。メンバーにとっても、可視化されることで自身のスキルアップへのモチベーションが高まります。
「マーケティングスキル評価シート」の活用
「マーケティングスキル評価シート」では、「戦略」「分析・データ」「集客」「獲得」「関係構築」「実務」というスキルを、さらに50のカテゴリーに分類。
各カテゴリーのスキルの評価基準を10段階に分け、「どのぐらい習得しているか」を具体的な数値で確認できます。
細分化されたスキルが数値化されることで、メンバーに足りない分野や、今後学ぶべきスキルを具体的に把握できるようになります。
チーム単位でスキル評価を行えば、メンバー間のスキルの偏りが分かり、チームの課題発見や戦略設定にも活用できます。
【7】業績に繋がるマーケティング人材を育成するには
マーケティング業務を遂行するチームにおいて、このような課題をお持ちの企業も多いのではないでしょうか。
☑マーケ人材が足りない
☑マーケスキルが低い
☑改善を回せていない
☑属人的な業務が多い
☑人材育成に苦戦している
☑育成計画が不足している
☑育成がOJTに偏っている
「グロースＸ マーケティング」では、マーケターに必要な知識を体系化。
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グロースＸでは、必要な知識やスキルを網羅し、体系化したカリキュラムで学ぶことが可能です。
これにより、よくあるスキルの偏りを解消し、課題への打ち手を考えるためのベーススキルが体系的に身につきます。
マーケティング業務の全体感を理解することで、メンバーや協力会社と同じ知識レベルとなり、円滑なコミュニケーションを行うことができるようになります。
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